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敗退 2日目後半 170318-20 塩見岳

春分の日の三連休(3月18~20日)で南アルプスの塩見岳に登ってきました。

その2日目後半です!


4人組が撤退したお陰(?)で、オレの中の甘えの気持ちがスーッと心から消えて行った。

そうだよ!そうでなくちゃ!


聖を思い出せ!


実に凛とした気分だ(^_^)


権右衛門山からは一旦下って樹林帯の中に突入する。

で、いよいよ塩見の山頂に向かって登って行く。
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写真じゃ伝わらないけど、結構な斜度だよ。


ラッセルです!

ラッセルしかないんです!


しんど過ぎて笑えてくる。

踏み出せばその一歩が道となり、その一歩が道となる!

シャラァ~~!

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来たぜ塩見!

取り付いたぜ!


ワカンはデポって、アイゼン、ピッケルの戦闘態勢に!

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稜線上に出れば素晴らしい世界が広がる!

あとちょっとだ、頑張ろう!

気を抜いた瞬間、、、

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雪庇を踏み抜いた、、、


胸まで潜って、ビックリ(;゚Д゚)

雪庇って端の方を歩いていて崩落するものだと思っていたけど、雪庇の張り出しの根本にクラック(シュルンド?)があるんだね。

身をもって学習しました。

生きててよかった(^^;;
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岩稜帯が見えてきた。

直登は出来ないので、右に巻いていきます。

岩稜帯を巻くには、かなり際どいトラバースの連続。

写真を撮ってる余裕なんて無いから伝わんないけど、足元から谷底まで数百メートル切れ落ちてるようなところを行かなきゃなんない。

目の前に岩があれば、足元から下が無くても進むことが出来る。


でも、目の前も、足元も面ツルの雪だとねぇ…

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はぁ、無理だよ!

目の前のトラバースを丸腰でステップ切って行くなんてさ。


ガンバレば行けると思う。

でも、この時点で午前10時40分。

山頂に着くのはおそらく12時頃だろう。


降りてくるのは13時過ぎ。

ここは南斜面。


今は厳冬期じゃない。

残雪期だ。

13時にはこの斜面は間違いなく緩んでくる。

ステップは限りなく不安定になる。


降りられるのか?


いや、無理だ。


OK!

終わりにしよう!

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到達地点、2,929m。

山頂までは、残り117m。

午前10時46分、終了です。


精一杯頑張った!

敗退とはいえ、またチャレンジするきっかけを手に入れたんだ。

潔く降りよう!

その前に。

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赤石、悪沢を目に焼き付けておきます!

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先週登った仙丈!


下り始めると、テント泊の50代の夫婦が登ってきた。

「早いですね!もう頂上に上がったんですか?」って聞いてきた。

「いえいえ、この先のトラバースがヤバかったんで降りてきました。たぶん行けるとは思いますけど、帰りは厳しいと思います」と忠告。

「ロープあれば行けますか?」って。

まぁ、見た感じエキスパートっぽいし、ロープも、ハーネスも、メットも持っているので行けるでしょう。

「多分、大丈夫!」


二人を見送りました。


6人組も登ってきた。

同じ質問をされたので、同じ返答。


6人組は、「そこまでで景色を堪能して戻ってきます」とのコト。

うん、それが賢明!

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右の肩に2人、稜線上に6人が登って行きます。

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間ノ岳、西農鳥、農鳥の素晴らしい展望!

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広河内岳からの白峰南嶺!

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オレが付けたトレースを、みんなが辿ってくれるのは何だか嬉しいね!

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樹林帯に戻ってきました。

もう、怖いものはありません。

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権右衛門山に戻ってきた。

6人組が降りてくるのが見える。

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もう塩見を堪能です!
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大分遠くなったな。

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三伏峠小屋が見えました!

も少し!

頑張って、頑張って!

オレ!


出発から10時間半、三伏峠の冬期小屋に帰還しました。

冬期小屋では4人組が食事を作っていていい匂い!

「早いですね!もう山頂から戻ったんですか?」と聞いて来た。

「いや山頂には行けなかった。2,900m付近で戻ってきたんだ」と答えた。

彼らと話しながらも、清々しい気分でいる自分に気づく。

冬期小屋の中は薄暗い。

今夜は、テントで眠りたい。

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冬期小屋のすぐ横だけど、テントを張りました!

きっと、4人からは変人扱いなんだろうな(^^;

まぁ、イイや!

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ビールを飲みながら水作りを開始!

はぁ、マッタリってイイなぁ~!

ビールがうっすらシャーベットになってるよ(#^^#)ゲップ


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塩見が夕日に染まってきたね!


18時頃になって6人組が戻ってきたようだ。

無事で何より!

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夕飯は長ネギたっぷりの鍋です!

最高に美味い!


夕飯を終えて、テントでマッタリしていると、外で男女の声がする。

どうやら4人組の置いてけぼりにされた2人みたい。


しばらくすると声がしなくなったので、小屋に戻ったんだろう。

それからしばらくして何となくテントの外に人の気配を感じて外に出ると、4人組のうちのさっきのうちの青年(朝俺を起こしてくれた青年)が星の写真を撮っていた。

写真を見せてもらうと、オレのテントと北斗七星が写った写真を見せてくれた。

オレは相当酔っぱらっていたんで、何を話したかよく覚えていないけど、天の川の話とか、写真の話をしたのかな?、なんだかとっても気分がよかった。

青年が「明日は4時起きで、5時には出発します。どうしますか?」って聞いて来た。

ホントいいヤツだな、オレの事を気にかけてる。

「ん~、明るくなったら起きるよ!多分」などと話していると、青年が何かに気づく。

「今、声がしませんでした?あれ?誰かいる」と、稜線を見ると光がチラチラ見える。

「あ、テント泊の2人だ!」とオレ。

そう、時計を見れば20時過ぎ、今から10時間ほど前に稜線で話をした二人が今になって戻って来たようだ。

山頂には立てたんだろうね、でも相当厳しかったんだろう。


無事戻れてよかった!


青年が冬期小屋に戻ってしばらくして2人組も戻って来た。

4人+6人+2人+オレ=13人が無事、三伏峠に戻ってこられた!


良かった!良かった!


ふぅ~!


オヤスミ!


💤…













Commented by shimasaan at 2017-03-26 10:02
途中、どうなるのかと……ヒヤヒヤしたけど、
全員無事でなりよりでしたね。

タケさんの場合は、敗退ではなく、キャリアのある撤退判断で、それで良かったのだと思います。
なりよも、下山してきて清々しい気分になれていることがその証明です。

まあ、今回のアタックは、ソロで冬山のピークに立つことの難しさということを、いろいろ考えさせられたのではないでしょうか。
多分、下山にはザイルを使った2人組が、夜中になって無事に降りてこれたのも、やはりパーティという絆があってのことでしょう。

それにしても、幾つもピークを超えていかなければたどり着けない南アの3000級、
北アのアタックに比べて、なんとロマンがあることでしょう。

Commented by campanula2015 at 2017-03-26 18:59
自分の力を出し尽くしたと思える山って素敵です。力を出し切るというのは撤退の判断も含めてです。
他の人の無事も喜べるタケさん、素敵です。んー、かっこいい!!
タケさんのような山の大先輩たちがいるから、自分ももっと頑張らなくっちゃって思えます。
Commented by weekend-mountain at 2017-03-26 20:05
> shimasaanさん
コメントありがとうございます!
2人パーティー以外は全滅でしたけど、全員無事降りてこられて本当に良かったです(^_^)

ソロで雪山に上がると、本当に一人きりという状況なら頑張れるんですけど、誰か近くに居るとついつい頼りたくなってしまいます。
今回は最終的には山とちゃんと向き合えて、自分なりの判断を下せたので、悔しいけれど晴々とした気分です!
冬山のザイルパートナーが欲しいところですけど、現状では難しいですね。

南アルプスの雪山は北ほど厳しくはないと思いますが、山深く分け入る感じが堪らないですね!大きな山容は常に心を魅了してやまないです!
Commented by weekend-mountain at 2017-03-26 20:21
> campanula2015さん
コメントありがとうございます!
今回はすべてにおいて準備不足だったかなと思っています。まぁ、次への目標が出来たのはある意味良かったのかなって思ってます。
雪山では同じ山域にいる人たちは運命共同体(死語)って感覚です。恥ずかしい話、昔雪山で遭難したことがあるので余計に「無事」って事が身に染みるんです。
大先輩なんておこがましいです(^_^)お互い現役ってコトで!
Commented by oyamasuki_Y at 2017-03-26 22:11
冬山のソロでの一番のむずかしさは「欲張りを抑える」ことですよね
あと1歩、もう1歩・・・気が付くと後には引けない
結果起きるのは「死」ですからね
リスクがハンパでない冬山はもったいないかな?思うくらいがちょうどいいです
私も死にたくないですもん 笑

私は谷川行ってきました
来月のGW明けまで山行が決まっててダメ人間言われそうです・・・
Commented by weekend-mountain at 2017-03-27 19:48
> oyamasuki_Yさん
コメントありがとうございます!
そうですね!仰る通りです。ワタクシの場合、ヘタレなので行き過ぎてしまうことはあまりないのですが、常に「誰も助けてはくれない」と肝に銘じて登ってます。何かあった時点で「死」に直結しますんで。それに天気の条件がイイ時にしか登りません。

谷川岳イイですね~!天神平で滑った事はありますが、登った事はありません(^^;;スキー場のある山は滑りたくなってしまうかも…

GW明けまで山行が決まっているなんて羨ましいです。写真楽しみにしております!
by weekend-mountain | 2017-03-25 21:36 | 南アルプス | Comments(6)